会社の担当者へ

検査実施マニュアル③自治体の検診を活用

自治体の検診を活用

節目やある年齢以上の住民を対象に、各自治体が無料~低料金で提供している肝炎ウイルス検査を活用する方法です。会社は、社員が居住する自治体の肝炎ウイルス検査の実施情報を提供し、受検の時間や機会のみ提供します。実施の準備や事務作業、費用負担、情報管理などは自治体が行うので、会社の負担が小さく、いつでも始められる方法です。

一方で、各自治体によって検診事業のあり方が異なるため、社員が複数の自治体に居住する場合は、情報提供も煩雑となります。また、受検しやすい環境を作っても本人の自主性にゆだねるため、受検率や陽性者の専門医受診率は下がってしまう可能性があります。

自治体の検診を活用する場合の流れ 自治体の検診の確認 ルールを決める 社員への説明 各自受検 実施後の対応

① 自治体の検診の確認

自治体の検診の確認

各自治体によって、検査を受けられる対象(年齢、その他の条件)や、費用負担(無料~一部自己負担※)が異なります。社員が居住する自治体の実施状況について情報提供することで、受検促進につながります。

※費用負担について

検査費用の一部が自己負担の自治体があります。
受検を促すために自己負担分を会社が負担するという方法も考えられます。各事業所の状況に応じて対応を検討しましょう。

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② ルールを決める

実施することを決める

受検のために職場を離れる場合の取扱いを決める

具体的に受検のために業務を離れる時間の取扱い(業務時間扱いとする、有給休暇をとって受検してもらう等)については労使間等で協議の上、事前に取り決めておく必要があります。また、一度に多くの社員が職場から離れて業務に支障が出ないよう、運用のルールも取り決めておきましょう。

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③ 社員への説明

社員への説明

肝炎ウイルス検査が社員を肝がんから守るために必要なものと考えていること、そのために肝炎検査に行く時間や機会を提供する方針であることを社員に説明し、各自治体の検診実施状況について情報提供しましょう。

ただし、受診は強制ではなく、検査を受けない自由を与える必要もあります。

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④ 各自受検

各自受検

社員が、各自の自治体で検査を受けます。


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⑤ 実施後の対応

実施後の対応

結果を放置させないために、検査後の対応も行いましょう。

相談窓口の設置

結果は本人にのみ通知されますので、会社が結果を把握することはありませんが、陽性が判明した社員から相談や質問が寄せられることが考えられます。あらかじめ対応する相談窓口を整理し、周知しておくことが望ましいでしょう。社内に対応できる担当者がいない場合は、自治体の相談窓口と対応可能な内容について確認し、社員に周知しましょう。

<相談窓口の例>

自治体の相談窓口 会社が検査結果や相談に対応しない場合
医療職(産業医・産業保健看護職) 最も望ましい
衛生管理者 医療職と連携することが望ましい
人事部門・総務部門 担当者を特定し、健康管理以外の目的では結果を利用しない等の情報管理を徹底する必要がある
【相談事項として考えられる例】
  • 検査のメリット、デメリット
  • 結果の取扱いに関するもの
  • 検査結果への対応に関するもの
  • 就業上の配慮に関するもの
  • 医療機関・社会制度に関するもの
  • ハラスメントに関わるもの

肝臓専門医の受診を促す

肝臓専門医の受診

自治体の肝炎ウイルス検査の結果は直接本人に通知され、陽性者は自治体からの通知や自治体保健師によって医療機関を受診するよう勧められます。しかし、肝機能異常や自覚症状がない場合、受診せずに放置してしまうケースが多いことが指摘されています。

会社では、肝炎ウイルス検査の情報提供を行う時点で、陽性結果が出たら一度は肝臓専門医を受診するよう、十分に啓発活動を実施しましょう。また、自発的に会社の医療職への相談するよう促すことも、結果を放置させないために重要です。

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こちらのコンテンツは「 肝炎セキュリティ 」を元に再編しています。

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