Q&A

  • 採用前に肝炎ウイルス検査の結果提出を求めることはできますか?
  • 採用選考時に、肝炎ウイルス検査を含む採用に必要のない健康情報を取得することは、結果として就職差別につながるおそれがあるため、基本的には検査結果を求めるべきではありません。
  • 本人の同意なく肝炎ウイルス検査の結果が漏えいした場合、どのような責任を問われますか?
  • 肝炎ウイルス検査の結果は、要配慮個人情報であって、本人の同意なく、また特段の合理的理由や必要性がなく、検査結果を漏えいさせた場合には、民事上の不法行為責任を問われ、損害賠償を請求されることがあります。
    下級審の裁判例ですが、採用選考にあたって本人に無断でB型肝炎ウイルスの検査や精密検査を受けさせたのは、本人のプライバシー権を侵害する不法行為に当たるとして、損害賠償請求が認容された事例があります(東京地方裁判所平成15年6月20日判決)。
  • 雇い入れ時の健康診断項目に肝炎ウイルス検査を追加する場合は、問題ないですか?
  • 雇い入れ時の健康診断は、常用労働者を雇い入れた際の適性配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務付けたものではありません。採用後に実施されるものは採用前とは状況が異なりますので、肝炎ウイルス検査の実施は可能ですが、その場合でも個人の同意を得て実施する必要があります。雇い入れ時の健康診断を雇い入れ前に実施すると雇い入れ前に結果を取得することになってしまい、上記質問項目のように注意が必要となります。
  • 若い人や、輸血や手術を受けたことのない人でも検査を受ける必要がありますか?
  • 肝炎ウイルスの感染者数は、若い年代ほど少ない傾向ですが、それでも無自覚な若い感染者が見つかっています。一生に一度だけの検査ですので、検査を受けることをお勧めします。
  • 会社が検査結果を管理する場合、精密検査の結果を本人から聞いてもよいですか?
  • 本人からの同意があれば可能ですが、慎重な対応が望まれます。常勤の医療職がいる場合は、医療職による情報収集が望ましいです。そのような医療職がいない場合は、本人の自発的な申出がない限り、精密検査の詳細な結果を聞き出すことは避け、就業上の配慮の有無についてのみ尋ねることをお勧めします。
  • 身の回りに肝炎ウイルス検査が陽性の人がいました。感染を防ぐにはどのようなことに注意すればよいですか?
  • 日常行為、例えば会話や握手、会食、血液や体液がついていない場所(椅子、床、ドアノブ、便座等)を介して肝炎ウイルスが伝播することはありません。B型肝炎ウイルスの場合、医療や保育、高齢者施設の現場で患者や園児への感染が懸念される場合がありますが、血液や体液に接触する機会をできるだけ減らすといった、標準的な感染予防対策(血液や体液が付着した器具を十分に洗浄、消毒すること、タオルや歯ブラシ等を共有しないこと等)での対応が行われています。C型肝炎ウイルスの場合は血中ウイルス量がB型肝炎ウイルスに比べ少ないことから感染の可能性はさらに低いものになります。詳細はhttp://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/050/yobou.html の資料を参照下さい。
  • 検査結果が陽性だった場合に、配置転換が必要な職種はありますか?
  • 病状にもよりますが、肝炎ウイルスに感染しているだけで安全・健康配慮の観点から配置転換が必要となる事例は、ほぼありません。
    通院時間の確保や病状が進んできた場合には、身体負荷の軽減などの就業配慮が必要となることがありますが、個別の判断が必要となりますので、産業医や主治医に指示を仰ぐべきです。
  • 肝炎ウイルスに感染した人が調理の際に手を切ってしまい、料理に血液が混入したとすると、食べた人に感染しますか?
  • 料理に血液が混入したとしても少量であると思われること、食べる人の口の中や周囲に大きな傷があれば通常は傷の治療をしていることから肝炎ウイルスが食物と一緒に口から入っても感染を起こさないことから、感染は起きないと言えます。(四柳編、「B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスの感染経路と感染性に関して」)
  • 検査結果が陽性だった場合に、どのような医療機関を受診したらよいですか?
  • 肝炎治療の医療費助成を受ける点では、各自治体が指定している肝臓専門医療機関、肝疾患に関する専門医療機関が望まれます。各自治体ホームページに案内している場合がありますが、全国の肝疾患診療拠点病院の相談窓口でも最寄の肝臓専門医療機関を紹介して頂けます。

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