肝炎は日本最大の感染症です
働く世代の約100人に1人がまだ感染しています
ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症といわれており、特に多いのが、B型肝炎・C型肝炎です。医学の進歩により、今ではかなり少なくなってきたものの、根絶するまでには至っていません。また、自覚症状が出にくいために肝炎ウイルスに感染していることを知らない人が多いのも特徴です。
B型肝炎ウイルスの治療が必要な感染者は約10~20万人と推定され、主に40代以上であることが特徴です。
C型肝炎ウイルスの治療が必要な感染者は約10万人と推定され、主に30代以上であることが特徴です。
つまり、肝炎ウイルスの感染者の多くは30歳以上の働き盛りの世代であり、約100人に1人の割合で感染者がいるとされています。
肝炎が進行するとどうなるの?
肝炎が進行すると慢性肝炎となり、肝臓内の線維化が起こり、徐々に硬くなっていきます。さらに約20~30年後には肝硬変に進行し、C型肝炎肝硬変になると年率約7%が肝細胞癌に発症するといわれています。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、自覚症状が出にくいのが特徴です。気づかぬうちに肝炎ウイルスが肝臓の機能を奪い、肝硬変、肝がんに進んでしまうこともあります。場合によっては、肝炎から突然、肝癌を発症することもあります。
無症状の期間が長いだけに、働いている世代に多くの感染者が潜んでおり、3人に1人が気づいていないと言われています。
是非、会社や健保組合で肝炎検査の仕組みを作ってください
一生に一度受ければOK!血液検査でできます
肝炎ウイルスに感染しているか調べるには「肝炎ウイルス検査」を受けてください。わずかの時間の血液採取で、数週間後には結果を知ることができます。しかも、日常生活で新たに感染することはほとんどないため、一生に一度だけ検査を受ければ大丈夫です。
※肝機能検査や健康診断では肝炎ウイルス感染は分かりません。
肝炎ウイルスの検査は、都道府県等が行っている保健所での検査や、医療機関でも検査を受けられる場合があります。
自覚症状などがあれば、再度検査を受けましょう。
働く世代が検査を受けやすくするために
簡単な検査を一生に一回受ければよいにもかかわらず、一番感染者が潜んでいる「働く世代」で検査を受けたことがない人が多いのが実情です。その理由として「検査を受ける機会がない」「検査について知らない」「時間がない」といったことが考えられます。そこで、会社が健康診断に肝炎検査を組み込むなど、社員に対して肝炎ウイルス検査の機会を設けることが推進されています。
会社が社員の健康を守ることは、大事な人材や会社全体を守ることでもあり、非常に有意義です。
当サイトでは、会社が肝炎ウイルス検査を実施する際のマニュアルについて紹介しています。
もし陽性だったら?症状がなくても早目の治療が必要です
ウイルス性肝炎は自覚症状がないまま進行し、自覚症状が出た時には癌に発展し、手遅れになることがありますので、「陽性」の結果が出れば、すぐに肝臓専門医の受診が必要です。また、肝炎治療には国から助成を受けられる制度がありますので、放置せずに治療を受けましょう。
肝炎治療について詳しく知りたい方は、専門の医療機関にご相談ください。
お住まいの地域の専門の医療機関は、下記ホームページで検索できます。
肝炎の治療は大きく進歩、働きながら治療を受けられます
C型肝炎は、以前はインターフェロンという副作用の強い治療法が主流でしたが、現在では飲み薬を2~3ヵ月飲むだけで治る時代になりました。B型肝炎も、飲み薬でウイルス量を減らし、肝がんへの進行を防ぐことができます。最近の肝炎治療は大きく進歩していますので、早期に発見すれば、働きながら治療を行うことは全く問題ありません。職場に迷惑がかかる、治療と仕事との両立に自信がないからと諦めることはありません。
当サイトでは、働く世代が働きながら治療を受ける「両立支援」のために、会社の担当者、本人(社員)、主治医が各々の立場で何をすべきかといった情報や活用いただける資料を提供しています。